1954年9月5日、一般社団法人長岡青年会議所(以下、「長岡JC」とする)は誕生しました。創立以来、先輩の皆様は自らの手で明るい豊かな社会の創造を目指して青年会議所運動を展開し、輝かしい功績を築いてこられました。私たちは時代とともに幾多の困難を乗り越えてきた長岡の歴史と先輩の皆様が築き上げてこられた長岡JCの歴史を誇りある想いの込められた「長岡JC魂」として継承します。そして現在、未来を見つめ、大いに議論し、扉の向こうにある未来の長岡JCそして未来の長岡を描き、自らの手で未来への扉を開きます。
東日本大震災では生活、家財、仕事、そして何より多くの尊い命が失われました。この未曾有の大災害により、多くを失いましたが何もかも失ってしまった訳ではありませんでした。それは災害という困難の中でも道徳を重んじ、利他の精神でお互いを思いやり、助け合う日本人の姿です。このことに世界が賞賛し私たちもその崇高な精神性を誇らしく感じました。一方で日本の日常社会に目を向けると目先の利害だけで行動を起こす人が後を絶ちません。痛ましい事件も連日のように相次いでいます。改めて私たちは日本人としての誇りを持ち、世界に誇れる精神文化である道徳心、行動規範である武士道精神、先人や住む土地を敬う心を見つめ直し、崇高な精神性である日本人の魂を未来へ継承していかなければなりません。
途切らせることなく子と孫たちへ
「論語」の中に孔子は「故きを温ねて新しきを知る、以って師と為すべし」と述べています。長岡JCが未来の扉を開くためには、まず組織の歴史を知る必要があります。私たちは本年度「温故知新」を掲げ、長岡JCの歴史を紐解き、創立から先輩の皆様がどのような想いでどのように活動されてこられたのかを知ることで、輝かしい功績を心に刻み、現在行っている活動の本質を改めて考え、これからの活動に活かして参ります。またJC活動に留まらず様々な人生経験からどのように困難を乗り越え、未来を切り拓いてこられたかを知り、現代を生き抜くための知恵を身に付けます。
新潟県中越地震の発生から本年度で10年を迎えようとしています。復興10年と言われますが現在の長岡市内を見渡しても震災の爪痕は殆ど感じられません。長岡の現在、未来を見つめ、私たちがどうあるべきか、長岡がどうあるべきかを議論し、未来の長岡JCそして未来の長岡を描きます。
長岡JCは昨年一般社団法人格を取得し新たなスタートを切りました。しかし私たちの活動は変わることはありません。年初からの一般社団法人格となる本年度も円滑な組織運営を活動の基盤とし、地域社会からの信頼にこたえられる組織を目指して参ります。
長岡JCはこれまでの活動を通して、市民の皆様に認識をしていただいておりますが、これまで以上に関心を高めていく必要があります。折角素晴らしい活動をしても知られなければ市民の皆様から継続して十分な協力が得られず次の活動に繋げることはできません。長岡JCが地域社会に認められ求められる存在となることが、メンバーの、自社の、そして家族の誇りに繋がり、長岡JCに入会したいという志高き数多くの青年が門を叩くことに繋がるでしょう。本年度はマスメディアを通じた情報発信の強化やSNS等を効果的に利用するなど戦略的に長岡JCの活動を発信することで、市民の皆様から私たちの活動にご理解をいただき、地域社会からより一層必要とされる存在になるよう活動して参ります。
戦争は言葉を失うほどの悲劇を生み、計り知れないものを失いました。二度とこのようなことがあってはなりません。
昭和20年8月1日、アメリカ陸軍航空隊125機のB29戦略爆撃機は、テニアン島北飛行場を飛び立ちました。そして同日午後10時30分、その日2度目の警報が鳴り響く中、先導隊12機が爆撃の目印として焼夷爆弾を宮内・新町方面・長生橋より街の中心部に向けて投下し、その後、後続隊113機が目印を目標に集束焼夷弾を次々に投下、100分間にわたる爆撃で約16万3千発の焼夷弾が投下され旧市街地の約8割が焼失し、現在分かっているだけで1,484名もの尊い命が失われました。この悲惨な史実を次の世代へしっかり伝え、戦災殉難者の慰霊と恒久平和への願いを込めて、本年度も31回目の柿川灯籠流しを執り行います。また、間もなく戦後70年を迎え戦災体験を語り継ぐ方々が年々減少している中、昨年長岡JCは行政や関連する様々な団体とともに「8月1日」の在り方について考えて参りました。これからも市民の皆様に「8月1日」という日を風化させず未来に引き継いでいくために行政や様々な団体と連携し、検証して参ります。
現在の日本は戦後の占領政策により国民の心の拠り所を失い、さらに今日の日本に至るまでの歴史を深く学ぶ機会が少なかったため、歴史観や国家観が希薄になり、海外に比べて自国に誇りを持てない人が多い現状です。史実から目を背けず自虐感を払拭し、日本人として自国に誇りを持ち続けるために近現代史を検証します。
長岡まつりは昭和21年に戦災復興祭として始まり、長岡JCは創立以来、積極的に参画して参りました。民謡流し、武者行列、ミス長岡まつりコンテストなど先輩の皆様の熱い情熱と青年らしい大胆な発想でその時代ごとに形を変えながら長岡まつりを発展させ市民の皆様とともに運動を繋げて参りました。その歴史を振り返り青年としてのまちづくりに対する気概を感じ取り長岡JCの誇りとして心に刻み、本年度も多くの市民の皆様と一体になって長岡まつりを盛大に盛り上げて参ります。
新潟県中越地震の翌年、震災からの復興を願い、全国からの支援に対する感謝の気持ちを込めて「復興祈願花火フェニックス」は長岡の夜空に舞い上がりました。その時、復旧、復興作業においての苦労や様々な支援、人の絆を感じた多くの市民が湧き出る感情を抑えきれず涙しました。それから10年。復興10年を目標に毎年打ち上げられ、本年度が10年目となります。現在では行政とともに様々な団体が関わり、長岡花火大会に無くてはならない地域の宝となっています。私たち長岡JCは打ち上げ当初より携わって参りましたが、立ち上がりからの経緯を知るメンバーが少なくなり、フェニックス花火の目的、意義がしっかり理解されていないために、積極的に参画しようという意識が薄らいできています。近年では街頭での協賛金募集にボランティアとして学生からの協力をいただき、また市内の子供たちが長岡の地域のことを想い打ち上げに参画するなど、市民協働として活動が広がりを見せています。私たちは地域の青年団体としてフェニックス花火の経緯、目的、意義を学び、本年度も市民の皆様とともに積極的に参画して参ります。
私たちは「明るい豊かな社会」を実現するため活動しておりますが、子供たちを取り巻く環境はそれとはかけ離れた状態です。道徳心に欠け、規範意識が薄れ、自己中心的な大人が増え、連日痛ましい事件が相次いでいます。そのような環境の中で子供たちの心は荒廃し、このままでは将来に希望を持てなくなってしまいます。心の歪みは陰湿ないじめに繋がり、命の尊さを知らず相手を思いやる気持ちに欠けた大人に育ちかねません。「子は親を映す鏡」ということわざがあります。大人である私たちが「尊敬できる人」、「手本となる人」になり、褒めて、愛して、認めてあげれば子供たちは心豊かに育つことに繋がります。まずは大人である私たちが道徳心、行動規範を持って己を律し、子供たちに希望を語り、尊敬できる大人にならなければなりません。
「最近の若い者は」という言葉を耳にします。この言葉は私たちが幼少の頃も、さらにずっと昔からも使われてきており、20歳も離れれば当然ジェネレーションギャップは発生します。20歳から40歳までの青年が所属する私たち青年会議所においても、これから入会してくる若い世代のメンバーは常に合理的に物事を考えます。知らないことがあればインターネットで検索しすぐに答えが得られ、結論が見えなければ行動しないようにも感じます。しかし自分の行動が社会に役立っていると実感することができれば苦労を惜しまず行動する世代でもあります。JCは自身を成長させることのできる最高の学び舎であり地域に無くてはならない存在です。大の大人がのめりこむだけの十分な理由があります。私たちはこの組織に誇りを持ち、自らの言葉で魅力を語り、長岡JCの継続的な発展、そして長岡の発展を志し活躍できる人財の輩出を目指し、本年度も積極的に会員拡大を行って参ります。
また地域からJC運動が理解されていないのではなくて、そこで活動する我々の姿勢が理解されていないと感じます。肩書きや名声を外して一人の人間として立った時、尊敬され頼られる存在であることが真のリーダーです。組織として成長するためには個々のメンバーがお互いを理解し、かけがえのない存在であることを認め合い、自分自身に自信と誇りを持つことが重要です。私たちは志を立てて己を厳しく律し資質向上のため日々努力し、人間力を高めなければなりません。お互いを高め合い地域のリーダーとして、大人として、Jayceeとして自らの成長のため修練し地域から頼られる存在になるように努めて参ります。
現在の日本は財政赤字が年々膨らみ、少子高齢化、デフレ、TPPなど多くの経済問題を抱えており、さらに領土領海、北朝鮮による拉致被害などの外交問題も私たちの生活に直結する重大な課題です。解決に向けての戦術はいくつもあると思いますが、本質を見抜き大局観を持って戦略としてあるべき姿を想定し、揺るぎない心で行動することが何よりも大切です。私たちは青年経済人として様々な問題点の本質を見抜く能力を身につけ、確たる意志で行動し、自ら進むべき道を切り拓いていかねばなりません。
明治時代の文明開化により西洋の様々なものや価値観が日本に流れ込みましたが、日本人の崇高な精神性は封建制度から明治維新を経てもなお残り続けました。現代もグローバル化が進み様々なものやシステムが流れ込み、今後ますます急速な変化の波が押し寄せてくることが予想されます。しかし如何なる変化の中にあっても目先の利益追求だけに囚われず、顧客、社員、地域などを大切にする日本型企業の理念は残さなければなりません。その源流は戦中、戦後に活躍した志ある経営者に多くを学ぶことができます。この世界に誇る経営哲学を現代と結び付け、変化の波にも揺るぎない強靭な企業となるために経営基盤を強化します。
近年情報伝達の進歩から流行り廃りの変化が激しく、商売でも新たな価値を創造し続けなければ存続が困難な厳しい状況になっています。私たちの住む長岡には地域の宝が数多く存在し、これを知り発信していくことも重要ですし、新たに生み出すことも未来志向の有効なまちおこしです。異業種の組織というメリットを最大限に活かし業界の枠を超え、青年らしい自由な発想で長岡の自慢となる魅力的なものを全国に発信して参ります。
長岡JCは明るい豊かな社会の創造を目指し、長岡の発展のため覚悟と勇気を持って尽力し、地域とともに歩み続けて参りました。この輝かしい歴史を築いてこられた先輩の皆様に感謝致します。
そしてメンバーに伝えたい。幾多の試練が立ちはだかろうと歴史とともに築かれし「長岡JC魂」を燃やし、仲間とともに乗り越えてほしい。それが己の成長に繋がりその背中を見ている者が未来の長岡JCを引っ張る人財となる。涙を流すような精一杯の活動をしてほしい。すべての活動において他人事にならず、ど真ん中にいてほしい。長岡JCを大いに語り、誇りに思ってほしい。なぜなら私たち一人ひとりが長岡JCなのだから。