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2013年度(一社)長岡青年会議所 理事長所信

第59代理事長 村田 靖

 社団法人長岡青年会議所は、2011年6月臨時総会において法人格移行の決議を行い、一般社団法人への移行を採択し、本年度中には一般社団法人長岡青年会議所(以下、「長岡JC」とする)として、新たな一歩を踏み出します。しかし青年会議所運動は、そして私たち長岡JCの活動は変わることはありません。明るい豊かな社会の創造を運動理念に置き、自由で夢溢れる青年らしい発想で自己開発を行いながら、地域発展を思い描き活動していくのです。一般社団法人へ移行する初年度だからこそ、地域に頼られるJCであり、市民に愛されるJayceeであるために、社会への奉仕という自らを磨き上げる修練の場に身を投じ、揺るぎない組織力の構築を図ってまいります。

 

 「Boys be ambitious~少年よ、大志を抱け~」の名言で有名なウィリアム・スミス・クラーク博士は、札幌農学校(現在の北海道大学)に赴任した当時、日本人教師が作成した生徒たちへの厳しい校則を目にし、「そんな規則で人間が作れるわけが無い」と真っ向から否定され、「規則はひとつあればいいのだ。Be gentleman(紳士たれ)!これだけで良い」と言われました。紳士とは、定められた規則を厳重に守るものであるが、それは規則に縛られるのではなく、自己の良心に従って行動するものであると言うことなのです。
 私たちは青年であり、経済人であり、社会人であります。時に青年だから故の青臭さ、泥臭さを互いにぶつけ合いながら、変わらぬ志である明るい豊かな社会の創造の実現を目指して青年会議所運動を展開しております。地域の青年として、社会人として、Jayceeとして、この「Be gentleman」をスローガンに掲げ、未来思考で愛する郷土長岡の発展に向けたまちづくり活動を行いながら自らを開発し、自らを高め、何事にも自らの良心に従い行動する、誇りある会員資質を築いてまいります。

Be gentleman 〜自らの良心に従い、誇りある行動を〜

長岡JCの宝

 昭和29年9月5日の長岡JC創立以来変わらぬもの、それは会員同志の結束、LOMの絆、すなわち『Teamwork』であります。青年会議所活動は単年度制で、毎年役割を変えながら活動しており、長岡JCにおける役割分担は、決して分業ではありません。私たちは、お互いにカバーし、バックアップしあう関係にあり、メンバー一人ひとりが目標達成のために各自の役割を自覚し、己の役割に徹することが必要なのです。自らが主体的に行動し、個性が生かされるとともに、その行動がお互いに交わりながら、Teamとして、調和した連携を生み出さなければならないのです。

 私は学生時代、バレーボール部に所属しておりました。団体競技であるバレーボールを見ても、トスを上げるもの、スパイクを打つもの、センターでブロックするもの、徹底的にレシーブするもの、サーブが巧みなものなど、それぞれの個性を生かしつつ、それが一体としてかみ合っているTeamが強く、ただ己の特性を発揮すれば足りるのではなく、常にお互いにカバーし、バックアップする関係にあるのです。それぞれがパートを受け持ちながら全体としてのハーモニーを形成するのがTeamworkなのです。

 そしてメンバー一人ひとりの協力と努力で目標を達成した、ひと事業やったという達成経験が一体感・連帯感を生むように、TeamworkはTeamworkによって高まっていくものなのです。

 また、私はTeamworkという言葉に「We are one 我々は一つだ」という感じを受けます。この感覚のないところに真の意味のTeamはないと思うのです。そしてTeamworkという言葉には、目標達成に向かって、全員が一つに集結している、「みんなでやり遂げよう」という意気込みが漲っています。統制されて無理矢理に一つにされるのではなく、自然に自主的に凝集していくものなのです。もちろんTeamworkは一朝一夕に形成することはできません。それには、お互いを知り、仲間意識を持ち、お互いに同志として認め合うこと。単なる仲良しサークルにとどまらず、円滑な人間関係も大切にし、その人間関係を通じて目標を成し遂げようという共通の志がなければTeamにはならないのです。みんなの努力、協力で目標を達成したという達成感、「ひと事業やった」という成就感をTeamとして積み重ねていくこと、その達成感がTeamworkを育てていくのだと考えます。

 青年会議所活動における役割(Role)は分業(Job)ではないのです。分業ではそれぞれが独立して不可侵の関係となりますが、役割では一応独立を認めつつも、お互いに時に臨んで助け合い、切磋琢磨することを重視します。これは既に私たちの活動の中で実践されているプロセスです。あらためてこのプロセスをメンバー一人ひとりに意識させ、長岡JCの宝であるTeamworkに磨きをかけ、確固たるものにしてまいります。

地域の宝

 長岡市は行政機能を持った市民協働の拠点であるアオーレ長岡の完成により中心市街地の活性化、市民サービスの向上が図られ、市民・行政が一体となったシティプロモーションを推進しています。また近年完成予定の東西道路の開通、左岸バイパスの建設、長岡バイパスおよび長岡東バイパスとの接続による外環状道路化などのインフラ整備によって、中心市街地へのアクセスの向上、長岡市を東西に分ける信濃川を渡る橋それぞれの渋滞緩和など、道路交通網が格段に向上されることに期待する一方、いわゆる2014年問題といわれる長野から金沢まで開通予定である北陸新幹線の開業による影響は、平成9年3月のほくほく線開業により、関東から北陸へのアクセスが向上し、上越新幹線越後湯沢駅での乗降客が増えたことで、乗り換えで訪れる方や長岡駅に足を下ろす方々が減少したと言われる問題以上に、この上越新幹線沿線の中越・下越地方の経済、産業、観光などに大きく影響することは間違いないでしょう。しかし長岡市には誇るべき独特の文化と歴史、産業や特産物が溢れており、自慢できる地域の宝があります。人々によって守られ伝えられてきたこの地域の宝を今まで以上に長岡の魅力として発信することが必要なのです。魅力溢れるまちとして県内外より人を引き寄せるには、まず私たちがこのまちのことを深く知り、長岡の魅力を自らの口で語り、そして発信していくべきなのです。このまちに生まれ、このまちで育ち、このまちに住まいするものとしてまちの発展を考えるならば、このまちを愛し、まちの魅力を探求することが必要なのです。

未来の宝

 物質的な豊かさや生活の利便性の向上、都市化・少子化等の進展に伴って、子どもたちの生活や意識も大きく変わってきています。社会性の不足、規範意識の低下、人間関係や連帯感の希薄化、集団や社会の一員としての自覚や責任感の低下などが指摘されています。そして、大人たちが作り上げた混沌とした変化の激しい先行き不透明な社会を背景として、子どもたちは子どもらしさを失い、漠然とした閉塞感や無力感が蔓延し、刹那的、排他的に事件が起きています。特にいじめは身近にある問題であり、昨今の子どもたちを取り巻く環境を象徴する問題だと思います。いじめは暴行、傷害、恐喝、窃盗といった立派な犯罪行為であり、より陰湿になってきています。いじめという卑劣な行為により、独りで悩み、苦しみ自ら命を絶ってしまう子どもたちの報道を耳にするたび、胸が痛く憤りを感じます。いじめ問題は、大人が見て見ぬ振りや、うちの子に限ってといった過信、サインの見過ごしなど、私たち大人が子どもと向き合う姿勢が問われており、問題解決に向け行政、学校、家庭、地域が連携していかなければならないと考えます。

 また、職業について考えたり、職業の選択・決定を先送りにする傾向や、フリーター志向の広がり、いわゆる「753」といわれる就職後の早期離職、ニートの問題が指摘される中で、子どもたちの進路意識や目的意識の低下が懸念されています。

 人間は誰彼の差別なく「一人ひとりカケガエノナイひと」であります。特に未来の宝である子どもたちにカケガエノナイ存在である自分を大切にする事と、東日本大震災において世界から称賛された互助の精神や利他の精神といった日本人の崇高な精神性や道徳心をしっかりと継承して行かなければなりません。そして自分の将来に夢や希望を抱き、その実現を目指し、生涯にわたって自分の人生をたくましく切り拓いていこうとする意欲や態度、目的意識などを培い、豊かな人間性と創造性を育んでまいります。

継続の宝

 昭和20年8月1日22時30分。おびただしい数のアメリカ軍B29爆撃機から投下された163,456発もの爆撃により旧市街地の約8割が焼失し、現在分かっているだけでも1,482名もの尊い命が失われたこの悲惨な長岡空襲は、長岡市民にとって忘れてはならない史実です。慰霊の心を忘れずに昭和59年より行なわれている柿川灯籠流しは、今年で30回を数え、間もなく戦後70年を迎えようとしています。戦災体験を語り継ぐ方々が年々減り、忘れてはならない史実と慰霊の心が風化しないよう、これからの関わり方を模索してまいります。

 また、昭和21年より戦災復興祭として始まった長岡まつりに長岡JCは創立以来、参画してまいりました。様々な事業を展開し、現在の神輿渡御を中心としたスタイルとなっておりますが、さらに長岡まつりの発展を求めるために地域活性の視点で捉えていくことが大切です。地域活性の切り札と言われる、自由で、ある種突拍子もない発想と活気を持ち、何事にも一生懸命になれる若者・バカ者、第三者の視点から客観的に強み・弱みを分析でき、新しい風をもたらすよそ者が必要と言われており、私たちはこれら要素を持つ、まちづくり活動を行う団体なのですから、これからも地域最大級のイベントである長岡まつりにしっかりと参画していくために、青年らしい発想で保守的にならず、行政や市民の皆さんと共に活動をしてまいります。

 そして2005年8月2日、新潟県中越地震からの復興を祈願し、全国からの支援に対する感謝の気持ちを込めた復興祈願花火フェニックスは、長岡まつりの夜空に大輪の花を咲かせ、近年では東日本大震災の被災地でも打ち上がり、人々に勇気と元気、希望そして感動を与えてくれます。打ち上げ当初より多くの諸先輩方と共に私たち長岡JCも毎年活動に加わり8年が経過しましたが、立ち上がりからの経緯を知るメンバーが少なくなり、協力意識の希薄化が見受けられます。今年、来年と継続していくために、私たち長岡JCメンバーはフェニックスの目的、意義をしっかりと理解し、「みんなであげようフェニックス」の名のもとに市民の皆さんと一体となった活動へと変容して、市民協働運動へと繋がっていくように、本年度も携わってまいります。

結びに

 長岡JCは紛れもなく地域のために存在しています。青年の英知と勇気と情熱をもって地域社会の発展繁栄のために、明るい豊かな社会の創造という信念を決して曲げず、真っ直ぐな活動を続けています。その真っ直ぐな活動は学び舎として経済、産業、地域活性など様々な分野において必要とされる多くの人財を輩出してまいりました。

 長岡JCは間もなく創立60周年を迎えます。大きな節目を間近に控え、更なる飛躍のためにこれからも地域の青年として、社会人として、Jayceeとして、市民・行政・企業・同じ地域で活躍する様々な団体と連携し、私たちが理想とする社会に向かい自信を持って地域に活動を発信し続け、青年会議所運動を展開してまいります。そして自らの成長を求め、まちづくり活動に賛同し、志同じうする者が集いTeamworkという長岡JCの宝に磨きを掛けながら強靭な組織を構築し、「Be gentleman~紳士たれ~」を胸に何事にも自らの良心に従い誇りある行動を以って活動致します。